About

cultureの語源はラテン語“cult”(耕す)。フィールドを深く掘り下げて、文化を育てる。

学生たちが講義や実習で学んだ知識をもとにフィールドへ飛び出し、地域の課題を見つけ、地域の方たちとともに課題解決に取り組む、愛知大学の「学生地域貢献事業」。2011年からスタートし、さまざまなアプローチから地域活動を展開しています。授業科目ではなく、部活動やサークルとも違う学生地域貢献事業は、自分たちが地域に貢献できるテーマを見つけ出すことに始まり、企画立案から予算の確保、スケジュール調整、自治体や企業との連携、会計、最終発表まで、あくまで学生が主体的に行います。観光の活性やまちづくり、商店街活性、ボランティア、環境問題、伝統産業の振興など、学生のみずみずしい感性を持ってフィールドを深く掘り下げることで、そこに暮らす人々とのつながりや有機的なコミュニケーションが生まれ、地域の課題解決とともに、学生たちの人間的成長にもつながっています。

Message

見ること、
聴くこと、
知ること。

そのすべてを
柔らかな感性で
吸収して
教養を磨き、
人間力を育む。

地域政策学部
岩崎 正弥教授

“地域貢献事業が
自分自身の成長につながった!”

参加学生が口々に語ることです。部活動・サークル活動との違いは、地域のための活動をすること、いわゆる利他的な行為である点です。しかし地域に暮らす人びとのための活動が、逆に地域の人びとから教えられ、地域に根づくさまざまな知恵に気づかされ、自分自身の成長につながるのです。

この学生地域貢献事業は、地域政策学部立ち上げ(2011年度)と同時に始まりました。教員がプログラムをつくるのではありません。学生が主体的に自分たちの考える事業を計画し、教員の前でプレゼンをし、採択されたものが学部公認の学生地域貢献事業として動き始めます。学部は活動費を支援し、支援教員を配置します。またすべての活動には、地域のパートナーがいます。ですから大学・地域の協働事業だといえるでしょう。

2011年度に4団体で始まったこの事業も、現在は20団体近くにまで広がりました。活動分野も、商店街活性化、福祉(子ども、高齢者、障がい者)、防災、コミュニティづくり、多世代交流、スポーツ、農山村振興、商品開発、環境保全、鉄道関連など、学部を構成する5コースにかかわるほぼすべての分野に及んでいます。学部のモットーである「地域を見つめ、地域を活かす」、この理念を学生自らが実践する過程で立ち上げられる活動なのです。

人口減少・少子高齢化による社会の変化を誰もが意識するようになり、同時に高度ネット社会(ソサエティ5.0)への飛躍が著しく進んでいます。200年前の産業革命に匹敵するような激動の時代に、私たちは生きているのです。時代の新しい動きや課題は地域現場に強く反映されます。そんな時代に生きるいま、改めて地域を見つめ、地域を活かす活動に、一人でも多くの志ある若者たちが参加してほしい、そう強く願っています。

学生たちの
行動力、発想力。

そのエネルギーが
地域を活性づけ、
やがて日本の将来を
明るく照らす。

地域政策学部
菊地 裕幸教授

地域貢献は口で言うほど簡単ではありません。当初は学生の自主性に任せて本当の意味で地域に貢献できるのか、少しの疑念がなかったわけではありません。しかし私が支援教員を務める「REGO」は、リーダーの山本君が失敗を怖れず突き進んでいくタイプで、彼に付いていく後輩たちも自ら学び成長しています。彼らの行動力、発想力には驚くべきものがあり、もちろん未熟さはありながらも、知らないうちに地域の方々を巻き込み、目的を達成して行きました。学生の主体的な活動だからこそ、地域や地元行政の皆様がその意志を尊重して、彼らの成長に温かい力添えをくださっています。地域の方から、「最近、まちなかで愛大生の活動をよく見るようになった」という声も多数いただいており、学生地域貢献事業が大学と地域、行政の結びつきをより深めてくれているのを実感しています。

今の日本社会は、新産業や起業が他国に比べて停滞し、若者の安定志向が目立ちます。それが悪い訳ではありませんが、彼らのようにリスクを取って挑戦していく人材が育ち、地域に根付くことで地域社会の活性化が進めば、それはやがて日本社会の活性化にも繋がります。長い目で見れば、そういう学生をひとりでもふたりでも育てていくことが日本の将来を明るくします。地域貢献は一過性でなく、息の長い取り組みが鍵です。先輩から後輩へ、情熱やDNAが受け継がれ、長く繋げていくことで、地域との関係をさらに深めていってほしいと思います。

地域を見つめ、地域を活かす。

地域政策学部のご紹介

全学生が基幹科目として「政策分野科目」「地域関連科目」を履修し、さらに5つのコースごとにより専門的に政策理論や地域における政策の内容・手法について習得し、多様化する地域ニーズに応える力を養います。「地域を見つめ、地域を活かす」をコンセプトとした学問体系で「地域貢献力」のある人材を育成します。

地域貢献力を養う5つのコース

  • 公共政策コース

    公共的な問題点を発見し
    解決策を提案する。

    • 地方自治体論
    • 社会福祉政策論
    • 災害と防災
  • 経済産業コース

    自治体の経済政策・産業政策
    を提言する力を養う。

    • 企業発展論
    • 地域金融論
    • 国際ビジネス論
  • まちづくり・
    文化コース

    地域文化の視点から魅力の
    あるまちづくりを考える。

    • まちづくりとデータ分析
    • 観光まちづくり論
    • 地域の食文化
  • 健康・
    スポーツコース

    スポーツを通じて
    地域貢献できる人材を育てる。

    • スポーツ政策論
    • 健康・スポーツ社会学
    • スポーツ経営学
  • 食農環境コース

    食の生産と消費者を見つめ
    地域活性化につなぐ。

    • 地域農業政策論
    • フードシステム論
    • 食農環境演習
愛知大学公館(旧第15師団長官舎)

豊橋キャンパスのご紹介

軍都から学都へ、
世界平和への願いを込めた建学の精神。

愛知大学は、第二次世界大戦終結まで中国・上海にあった東亜同文書院大学の教職員と学生たちが、戦後の日本に興した大学です。明治34年、日中友好を理念として、日本と中国の架け橋となる人材の育成を目指して設立した東亜同文書院は、日中間の戦争によって厳しい立場におかれ、45年の歴史に幕を閉じました。敗戦後、日本に引き揚げた元学長の本間喜一は、学生たちの受け皿となるべく大学再建を図り、豊橋市に残された陸軍跡地に愛知大学を開設しました。だからこそ建学の精神には、戦争への反省と民主主義実現への切望、そして世界的な視野をもって社会発展に寄与する人材育成への、強い決意が込められています。

愛知大学発祥の地である豊橋キャンパスには、陸軍第15師団時代の建物がまだ多く残っており、司令部は大学記念館、師団長官舎は公館として保存され、明治、大正、昭和を紡いできた歴史を伝えています。愛知大学の歩みは、軍都から学都への変換を求めて師団跡地に大学を受け入れた郷土の願い、そして「本学をして永遠に智を愛する者達の殿堂たらしめよ」との崇高な理想を礎として、時代とともに変化する地域課題に取り組みながら、今日まで続いているのです。