設楽原の歴史を伝える
インスタ映え × 和菓子。
みちまる メイン
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みちまるくんLab

2017年、NEXCO中日本の呼びかけで長篠設楽原パーキングエリアの新たな土産物を開発するべく集まった「みちまるくんLab」。新城市で90年の歴史を持つ老舗和菓子店「とみかわや」と組み、半年かけて「からくり姫団子」を完成させ、販売を成功させた。

海沿いを走る東名高速道路に対して、ほぼ平行に山間部を走る新東名は、三遠南信地域にも新たな物流と人の流れを生み出した。新東名はサービスエリア・パーキングエリアごとの差別化を図るため、それぞれの地域特性を巧みに打ち出しており、新城市にできた長篠設楽原PAも歴史と文化を踏まえた設計になっている。

Interviewee
加藤 菜奈子さん
2017年代表
岡崎市役所
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“みちまるくんLabの経験を生かして
地域の人を支える仕事がしたい。”

ここで販売する新商品の開発にチャレンジすることになった加藤さんたち「みちまるくんLab」メンバーは、まず長篠設楽原パーキングエリアや市内の産地直売所などを巡った。長篠設楽原パーキングエリアはこの地で起きた合戦にちなみ、下りが織田・徳川連合軍、上りが武田軍の陣営をコンセプトに造られている。火縄銃の展示やかがり火など内装もかなり凝った作りになっており、ただの休憩スポットではなく、立ち寄ることでこの地の歴史、文化、グルメなどを体感できるテーマパークさながらだった。 「戦国というコンセプトを踏まえつつ、若者をターゲットにした和菓子を作れないかと考えました。インスタ映えのために、透明な葛餅で中の餡が透けて見える三色団子にして、そこにまるっと新城を詰め込む和菓子にしたいと思い、歴史や特色ある食材を探しました」

Interviewee
今泉 寿凰さん
郷土菓子処とみかわや 店主
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“純粋で一生懸命な学生さんの想いに、
全力で応えたかった。”

加藤さんたちのアイデアをもとに、実際にお菓子を作ってくれたのは、新城市で90年の歴史を持つ老舗和菓子店の「とみかわや」。約半年間の準備期間中に、数多くの食材を試作しては意見交換を繰り返した結果、味と見た目から、抹茶とあずき、チーズと干し柿、八名丸(里芋)の3種類に辿り着いたという。八名丸も干し柿も新城では馴染みのある特産品だが、和菓子でこうした組み合わせは聞いたことがなく、「和菓子には守るべき王道というものがありますから、知らないからこそ次々出てくる斬新な意見に驚かされました」と、店主の今泉さんは笑顔で振り返った。  からくり姫というネーミングは、戦国時代の新城に実在した亀姫にちなんだもの。「みちまるくんLab」は商品開発だけでなく、価格設定やパッケージデザインにも携わり、パーキングエリアでの発売時にはPOPや売り場づくりも行なった。愛知大学豊橋キャンパス生協で1日限定出店した際にも見事50個を完売し、新城の歴史と食材のPRに貢献した。